狼陛下と仮初めの王妃



少しでも陛下を助けたい。

その一心で、何かできないかと懸命に考える。

事前に読んだ書物には、王妃は政治以外の部分でおもてなしをしていた。

城下を案内したり特産品を贈ったり一緒にお茶したり、女性ならではの気遣いが読み取れた。

全部同行された妃が相手で事前準備が必要なもの。

けれど今回の訪問は王太子のみで、王妃の出番は要請されたときに陛下の隣にいることだけ。


「やっぱり陛下の言う通り、お隣で笑っていることしかできないの?」


なにも思いつかず、ため息がでる。

王妃として傍にいられる間は、陛下に尽くしたい。

頭を捻って考え込んでいると、ノックの音が響いた。


「コレットさま。お呼びと伺って参りました」


リンダとマリアが扉近くの壁に並び、コレットの言葉を待っている。

どうやら陛下はふたりを呼んだだけで、何も命じていないよう。

本当に自由にしていていいのだ。それならば庭に出よう。

外の空気を吸えば、なにかいい案がひらめくかもしれない。

そう思ったコレットは、ふたりに散策の供をするように言って、ソファから立ち上がった。