彼の醸し出す“逆らっちゃいけないオーラ”は、陛下の眼光よりも効果抜群である。
ふたりのお出かけにリンダも供を務めるのは、コレットが陛下にお願いをしたためだ。
リンダの恋の応援をしているコレットは、供につけることでふたりの仲を近づける作戦を思いついたのだった。
アーシュレイの馬にリンダが乗るのを見て、ひとりほくそ笑みする。
道中もきっとたくさん話ができるはずだ。
コレットの乗る黒い馬に陛下がひらりとまたがれば、さっそく馬が進み始める。
「じゃあ皆さん、行ってきます!」
コレットが振り返って騎士たちに声をかけると、体を支える陛下の腕がぐぐっと強まった。
「落ちるぞ。君は、あまり動いては駄目だ」
ドレスのコレットは横座りのため、逞しい胸が頬の横にある。
見上げれば陛下の真剣な顔が間近で、風を受けてさらさらと揺れる銀髪が青空を背景にしており、いつもより綺麗に見えた。
馬は城門を通り抜け、コレットは久々の城外にわくわくと胸を躍らせた。
お出かけ場所のリクエストは、自然を感じる気持ちがいいところ。
陛下はどんな場所に連れて行ってくれるのか、楽しみで自然に笑顔がこぼれる。
城壁周りの道を通り、馬は山林に入っていく。
鳥たちのさえずりが耳に心地よく、風に混じる緑の匂いに心が癒される。
胸いっぱいに空気を吸いこめば、体の中で滞っていた気の流れが動き出したかのようにすっきりする。


