「ですが、陛下。王妃さまもご一緒となれば、普段よりもさらに警戒を強めなくてはなりません」
「供が多いに越したことはありません」
是非ご命令を!と頭を低くして願い出る騎士たちに対し、陛下は「必要ない」と一蹴する。
そして瞳をふわりと柔らかくしてコレットに向き直った。
「待たせたな」と言って軽々と抱き上げ、丁寧に鞍の上に乗せる。
こわごわと黒い馬に乗るコレット王妃は可憐で大変かわいらしく、騎士たちの庇護欲を刺激してやまない。
陛下は強くて自分の身を守る術を知っているが、コレット王妃はそうはいかない。
獣などに襲われた場合、いくら強い陛下が守ってもひとりでは大変だ。
我らが守ります!と、少しざわめく騎士たちを黙らせたのはメガネを光らせるアーシュレイだった。
「大丈夫ですよ、心配ありません」
隣にリンダを伴って、彼は騎士たちの輪の中へ入っていく。
「陛下と王妃さまは、我ら二人が身を呈してお守りしますから。そうでしょう、リンダ」
「はいっ。騎士の皆さま、アーシュレイさまとこの私に、ドーンとお任せくださいませっ」
キラリとメガネを光らせる彼に水を向けられたリンダは、頬を染めつつも居並ぶ屈強の騎士たちに胸を張って見せた。
「それに、新婚ふたりの邪魔をしては、野暮というものです。最少人数でしっかり護衛します。君たちは、我らに、何か不満はありますか」
最後の一文は、アーシュレイ独特の静かな気迫が込められているもので、騎士たちはぞくりと身を震わせて渋々ながらも引き下がった。


