これまでも自由は少なかったが、いっそう窮屈になった気がする。
けれど、日々の生活の中でつい忘れがちになるが、もともとはお沙汰で始まった城暮らしだ。
自由がないのは仕方がないと、コレットは思い直した。
「では、リンダ。よろしく頼みますよ」
「はい。アーシュレイさま」
アーシュレイに声をかけられたリンダの頬がポッと染まる。
そんな彼女を、マリアは不思議そうに眺めていた。
リンダを前に、マリアを後ろにし、コレットは楚々と廊下を進む。
すれ違う役人が立ち止まって礼を取り、それに目礼を返す彼女は日ごとに王妃らしさが増している。
アーシュレイはそんなコレットを見送って、満足げに口角を上げた。
そしてすぐさま真顔に戻し、陛下の執務室へ入っていった。
さて、王妃の部屋に戻ったコレットは、さっそく書庫の鍵を首から外して箱の中に仕舞った。
宝剣と鍵を入れる箱は、ブーケの入っていた白い箱からグレードアップして、藍色の美しい宝箱に変わっている。
銀で細工された、疑問符にも似た優雅な曲線を描く四足付きの箱は、蓋の中央に七色に光る石で細工された薔薇が飾られている。
これは陛下から『宝剣はこれに入れるといい』と、渡されたもの。
美しく光る石は異国のもので、貝殻細工というのだと教えてもらっている。
光の影響で彩りを変える石の薔薇は、コレットのお気に入りで見るたび気分が上がる。
機嫌よく、にこにこしながら宝箱を運んで、鍵付きの棚に仕舞っている。
その様子を示しながら、リンダは指導を始めていた。


