狼陛下と仮初めの王妃



コレットが王妃として過ごす日々は、考えていたよりもずっと刺激的で大変だけれど、充実している。

夜は陛下の抱擁の中でドキドキしながら眠り、朝は額に目覚めのキスをされ、昼間はアーシュレイの光るメガネに見守られる中で王妃の仕事をする。

毎日繰り返されるこれは、慣れたものもあればそうでないものもある。

王妃の仕事はそれなりにできるようになってきたけれど、ベッドの中での陛下のちょっぴり強引な優しさには、ちっとも慣れない。

彼は、顔や背中以外には触れてこないけれど、たまに唇を撫でる。

そのときの陛下の瞳はとても色っぽくて甘く、夜限定の表情を見せるのだ。

男性は夜になると誰もが艶っぽくなるんだろうと思うが、コレットとしては困惑してしまう。

壊れ物を扱うがごとくにそっと触れられるたび、ぞくぞくして体の芯が熱を持ってしまうのだ。

そして腕の中に閉じ込められて髪を撫でられるうちに、いつの間にか眠りに落ちている。

抱き枕というか、ペットというか、陛下にとってコレットはそんな存在なのだろうと思う。



「王妃さま、お茶をお持ちいたしました」


ワゴンを引いた赤毛の侍女が、執務室に入ってきた。

ソファに座って読み物をしていたコレットは、顔を上げて笑顔を向ける。

午前の仕事の際、書状を持ってきたジュードが『リンダの下に一人付けました』と報告していた新しい侍女だ。