狼陛下と仮初めの王妃



「君は部屋に訪ねて来た者をむげに追い返すつもりか?」


冷たいな?と言われてしまい、コレットは慌てて否定する。


「そ、そんなことはないですっ。どうぞ、ゆっくりしていってくださいっ」

「そうか。ならば、おやすみ、は別の場所で聞かせてくれ。私はゆっくりしていく」


言った後で自分の言葉が間違いだったと気付いたコレットだが、すでに遅し。

ソファから抱き上げられ、ベッドの上にそっとのせられた。

隣に沈み込んだ陛下は「おやすみ」と言って、イタズラが成功した子どものように口角を上げる。

彼は、今日もベッドを共にするつもりなのだ。


「おやすみ、なさい」


曖昧に微笑みながら挨拶を返せば、彼の長い指はコレットの豊かな髪を梳いた。

やがてベッドサイドのランプが消され、コレットは初夜と同じように、抱きしめられて眠ることになった。

また、寝付きにくい夜が更けていく。