狼陛下と仮初めの王妃



今のコレットの姿と言えば、夜着だ。

彼女にとっては胸元と裾にフリルの付いたデザインのこれは、外を出歩けるくらいにかわいいもの。

誰に見られても平気だと思う。

けれど、陛下の考えることはまったく分からないが、コレットを見つめる目はとても怒っている。

眉を歪めてギラッと光る瞳は、震えるほどに恐ろしい。

触らぬ狼には、噛まれない。

痛い思いをする前に素直に従うことにして、促されるままソファに座った。

すると、陛下は壁のランプを消し始めた。

その様子を見て、コレットは、あれは彼が消す役目だったことを思い出した。

それならば部屋の灯りを消しに来ただけで、済めば戻るだろうと思う。

階の隅っこから隅っこにあるここまで、いちいち消しに来なければならないなどと、厄介な決まりだ。

いったい誰が作ったのか、改善すべきだ。


灯りひとつだけになって部屋の中が暗くなると、なんと陛下は出て行かずに、コレットの隣に座ったから胸がトクンと脈打った。


「えっと、陛下……お疲れさま、です。それから……あの、おやすみなさい」

「なるほど。ここで君に、おやすみ、と言われるとはな。まったく心外だ」


コレットは、避ける間もなく伸びてきた彼の腕の中に、収められてしまった。