狼陛下と仮初めの王妃



まさか毎日こんなにあるのだろうか?

そうアーシュレイに尋ねてみれば、「多分今回は、今まで陛下が処理しきれなかった分も含まれているんでしょう」と言う。


一枚目を取ってみれば、文字がびっしりと書かれてあって読むだけでも時間がかかりそうだ。

これでさらに可否を判断せねばならないとは、今日中にできるのか不安になる。

ただの牧場娘だったコレットにできるんだろうか。


「あの、これを全部なんて……」

「否の判断をしたものは、避けておいてください。さあ、さくさく仕事をして、早く終わらせますよ!」


コレットの言わんとした事を阻んだアーシュレイは、有無を言わせぬ迫力がある。


「陛下は毎日、これの十倍はこなされてますよ!あなたがこれを処理することで、大きな助けとなるのです!いいですね?」

「は、はいっ!やりますっ」


そうだ。ぼやぼやしていれば時間だけが過ぎてしまう。

一枚ずつ真剣に読み、分からない部分はアーシュレイに尋ね、サインをする。

それをひたすら繰り返していく。

こうしてコレット王妃としての初日は、お茶の時間のほかはすべて執務机にかじりついたまま暮れていった。

頭が書状でいっぱいになり、朝っぱらから悩まされていた陛下の瞳と唇の面影が薄れたのは、唯一ありがたいことだった。