狼陛下と仮初めの王妃



王妃の仕事をする部屋は、執務室というよりも応接室に近いもの。

陛下のそれと同じくらいの広さがあるが、中央にソファとテーブルのセットが置かれていて、書棚はひとつだけ。

執務用の机はあるものの、陛下のものよりもかなり小さくて引き出しもついていない。

アーシュレイが言うには、王妃としては作られた書状にサインをするだけなので、これで十分事足りるそう。

今までは陛下に行っていた書状が回ってくるそうで、城内での生活に関する申請書や上申書などの処理をコレットが受け持つことになる。

大半は『購入申請書』や『修繕修復の申請書』とか『人事の異動報告書』などで、主に執事が書いたものを読んで可否を判断するだけらしい。


「簡単なことですよ。用語などが分からなければ、聞いてください」


アーシュレイは陛下からコレットの護衛につくよう命じられており、慣れないうちの指南役も兼ねている。

とはいえ、四六時中一緒にいるわけではなく、本来の仕事があるときはそちら優先になる。

本来の仕事とは、陛下の側近騎士である。

帯剣はしているが、今は騎士服ではなく正装をまとっていた。


コレットは執務机に座ってみた。

硬めの弾力のある椅子はとても座り心地がよく、長時間でも疲れそうにない。