イジワルな彼とネガティブ彼女

お店に入って、ワインとサラダとピザを注文するまでは、ふたりで普通に話してた。


ワインとアンティパストが運ばれて乾杯してから、足立くんは黙ってしまった。


足立くんの様子がおかしいことに、さすがに私も気がついた。


「足立くん、どうしたの?


何かあった?」


足立くんはワインを飲み干すと、軽く不機嫌な感じで話し出した。


「莉子さんと本田さんの間に、何があったんですか?


さっきの会話、僕の知らない莉子さんでした。


莉子さんは、本田さんが好きなんですか?」


「違うよ、本田さんのことは何とも思ってないよ。


知り合ったきっかけが、ちょっと変わってただけで」


恥ずかしかったけど、歯が欠けてしまったことから、偶然の出会いが重なったこと、歯医者を紹介してもらったことを説明した。