イジワルな彼とネガティブ彼女

「頑張るのはいいけどさ、年下の彼を放っておくのは、かわいそうじゃない?」


私は、そこで初めて、足立くんの手を離したことに気づいた。


足立くんを見ると、うつむいたまま黙っている。


「ごめんね、足立くん」


足立くんは黙ったまま、首を横に振った。


本田さんは、さらに足立くんを攻撃しはじめた。


「足立くんさ、年上の女とつきあうようなタイプには見えないけど、だまされてない?


高橋は、見た目は地味だけど、中身はけっこう男っぽいからさ」


「莉子さんは、そんな人じゃありません」


足立くんは、本田さんをまっすぐ見つめながら、きっぱり言い切った。


「それは失礼、じゃあ頑張って」


本田さんは、私たちをひっかき回して、歩いていった。


「莉子さん、行きましょうか」


足立くんはまた、私の左手をそっと握ってくれた。