イジワルな彼とネガティブ彼女

2駅移動するってことは、本田さんがいるSFYの最寄り駅だ。


・・・なんでここで、本田さんが出てくるんだ。


電車はけっこう混んでいて、体の右側が足立くんと密着してる。


足立くんは、170cmを少し越えたくらいだから、160cmの私と密着してると、顔まで近い。


華奢な足立くんは、私をつぶさないように力を入れているからか、顔が赤い。


私も、密着してるから、顔が赤くなってる気がする。


ほぼ無言で、顔の赤い二人は駅で降りた。


「莉子さん、こっちです」


足立くんは、自然な感じで私の手を握った。


本田さんの大きな手と違って、やわらかくて繊細な手だ。


・・・って、なんでまた本田さんと比べてるんだ。


「僕の独断で、イタリアンにしたんですけど」


「うん、わかった」


駅を出て左に曲がり、横断歩道の信号が青になるのを待っていた。


信号から下に視線をうつしたら、思わず声を出しそうになった。