「ベッドに行こうか?」


・・・え、つまり、それって、いきなりしちゃうってこと?


私の返事を待たずに、高熱を出した時のように抱きかかえられ、寝室に連れてこられた。


いつスイッチを押したのか、暖房がきいていた。


どうしてだろう。


こんなに冷静なのに、酔ってもいないのに、本田さんを拒否できない。


いや、むしろ、身も心も本田さんにゆだねたいと思っている。


でも、これだけは言っておかないと。


「本田さん、私、初めてなんです」


「えっ・・・」


さすがに、そこまでは予想してなかったみたいで、驚いた顔で私を見下ろしていた。


「優しくする」


その言葉の通り、ゆっくりゆっくり、ひとつひとつ重なっていった。


舌をからめて、指をにぎって、お互いの背中をなでて。


痛くないか、何度も確かめられた。


痛かったけど、幸せな痛みだった。