イジワルな彼とネガティブ彼女

ガチャンとドアが閉まって、部屋は重くて静かな空気に包まれた。


「どうして、あんなこと言ったんですか？」


「あんなこと？


俺がおまえを家まで送ったってこと？」


「そうですよ、私は翼くんに話してないのに」


「話してないんじゃなくて、話せなかったんだろ。


本当のこと話したら勘違いされるとか、勝手に決めたのはおまえだろ」


「だって、そんなことつきあっている相手から聞きたい人なんていないじゃないですか」


「でも、こんな形でバレるくらいなら、話しとけばよかったんじゃねーの」


「そんな･･･」



もう終わりだ。


翼くんはきっと、私に愛想をつかして離れていってしまう。


また一人だ。



「じゃあ、そろそろ帰るな」


「ありがとうございました」


「なんだよそれ、一応お礼しときます、みたいな」


「いえいえ、本当に感謝してますから」


「まだ無理すんなよ、また連絡するから」