イジワルな彼とネガティブ彼女

「だ、だから、なんで本田さんが私の部屋で寝てるんですか?」


本田さんは答える代わりに、私の首筋にそっと手をあてた。


「ひゃっ、な、何するんですか!」


「熱はまだ高いな」


「ね、ねつ?」


本田さんが言うには、昨日の夕方、駅のホームで倒れた私を偶然見かけて、家を知っているから連れて行くと駅員さんに伝え、おんぶしてタクシー乗り場まで行き、荷物と一緒に家へ運んでくれたそうで。


「おまえ顔が真っ赤で、計ったら38.5度もあったからさ。


とりあえず冷やして、水分を口移しでとらせて、着替えさせて・・・」


「ひ、ひどい、なんでそこまでするんですか!」


「冗談だよ、自分が着てるもの見てみろ」


ほんとだ、昨日の洋服のままだ。


「なんで、いつもいつも、私の前にあらわれるんですか?」


「なんで、って言われてもな。


最寄り駅が同じだからじゃね?


俺んち、あそこのマンションだから」


本田さんがアゴでクイッと指したのは、駅前のタワーマンションだった。