愛しの残念眼鏡王子

自分の気持ちが届いてくれないもどかしさと、今もずっと専務に想われている小野寺さんに、みっともなく嫉妬してしまう。

プロポーズまでされて、泣いてしまうほど想われている小野寺さんが羨ましい。


「もうこのままいったら、一生独身でいるしかないかな」

「え?」


辛くて下にさがっていた視線が、専務の声を聞いて上がった。

そして専務を見つめると、彼は困ったように眉をハの字に曲げた。


「こんな俺じゃ誰も好きになってくれないだろうし、好きになってもらえる自信もない。……だったらひとりでいるしかないかなって」


自暴自棄ともとれる発言。

専務が私に弱音も本音も打ち明けてくれたのは嬉しい。


けどそんなこと思わないでほしい。

自信がない専務のことが好きな人が、ここにいるのだから。


専務は本当に残念な人だ。

自己評価が低すぎる。


できるものなら、今ここで「好き」って言いたい。

でも自分に自信のない専務のことだ。