愛しの残念眼鏡王子

「小野寺さんは、そんな専務になんて言ってくれたんですか?」

気になり尋ねると、専務は目を潤ませながら言った。


「必ず現れる。俺にとって運命の人が。……こんな俺でもヒーローになれる、たったひとりの子がって言ってくれた」


せっかく止まったはずなのに、専務の瞳から一筋の涙が零れた。


「そんな風に言ってくれた小野寺さんに言ったんだ。信じて待ってみるよって。……でも現実は厳しくて、俺はいまだに未練がましく彼女のことが忘れられずにいる」


専務……。

次々と専務の瞳から溢れる涙。

彼は慌てて手で拭っていった。


「自分でもいい加減、忘れなきゃって分かってはいるんだけど、思い出すと今もこうやって女々しく泣けてしまうんだ。……もう二年も経つのに、今の俺を見たら小野寺さんに笑われちゃうし、これじゃ誰のヒーローにもなれないのにね」


また無理して笑う彼に、ギュッと唇を噛みしめてしまう。

悲しくて切なくて、そして悔しい。

専務は自分の魅力に気づいていないから。

自分のことだめだって言うけど、そんな専務に私は救われたし、好きになってしまったから。