愛しの残念眼鏡王子

同じ“みつき”さんなのに、漢字が違うだけで別の名前のような気がしてしまう。


「小野寺さんとは、東京で働いていた時、同じ会社で同じ部署で、俺の部下だったんだ。ずっと妹のような存在だった。だけど俺とは違ってしっかりしていて、俺が仕事中ドジやっても、いつも嫌な顔せずフォローしてくれていた」


当時のことを思い出しているのか、専務は少しだけ口角を上げて微笑んだ。

それだけで私と同じ名前の小野寺さんは、専務にとって特別な存在だったんだって思い知らされる。


「小野寺さんにも恋人がいた。しかも会社の時期社長である御曹司。ひいき目ナシにお似合いのふたりだったよ。ふたりは結婚するものだとばかり思っていた。……それなのに小野寺さんは会社を辞めて、この町に引っ越してきた。そして偶然にもうちの会社に事務員としてやって来たんだ」


え、じゃあ小野寺さんはその御曹司とは別れちゃったってことなのだろうか。


思わず聞きたくなってしまったけれど、グッと堪え話に耳を傾けた。


「再会した時はお互いびっくりしたよ。彼女も俺の両親が経営している会社だと知らずに来たみたいだから。当時、俺もまだやっと仕事を覚えてきたばかりの頃で、小野寺さんの存在は大きかった。以前のように俺がドジしても、フォローしてくれて頼もしくてさ。……ずっと頼りになる妹としか思えなかったのに、いつの間にか彼女に惹かれていた」