愛しの残念眼鏡王子

彼は昔から犬を飼うのが夢だったらしく、引っ越した先はペット可能なところを選んだ。

彼の両親も私の母親と同じく、動物が苦手で飼うことが出来なかったらしい。


けれど私とは違い、彼は犬が大好きで『飼いたい』と言われた時の彼が、まるで少年のように可愛くて、ふたつ返事で了承した。

飼いたいとは思わなかったけど、嫌いではなかったから。


引っ越しと同時にペットショップへ行き、彼が一目惚れしたゴールデンレトリバー、ユウとの生活が始まったんだ。


最初はほとんど彼がユウの世話をしていたけれど、営業職で帰りが遅い彼。

泊りがけの出張も多く、自然とユウの世話をするのは私の方が多くなっていった。


ユウと一緒に生活をするのに、少し不安はあったけれど、過ごしていくうちに可愛く思えるようになって、彼と会えない時間が多くなっていっても、寂しくはなかった。


同棲生活は、幸せな生活への第一歩だと信じて疑っていなかった。

ユウまで飼ったわけだし、長くても一年経てばプロポーズしてくれるのかもしれない。

そんな甘い期待をしていた私だけど……それはとんだ思い違いだった。