小瓶の暗がりと少女



「どうだった?この版は」

「最高」

「やりすぎじゃない?私もあんたみたいになっちゃうの?」

満面の笑みで、楽しかったよ、と答えた。

「でももう飲みたくないね。なんで一番嫌な記憶を呼び起こすの?」

「そうした方がいいっていうのを、あなたが身をもって証明したじゃない」

「そうだね。これでもう、あいつらにからかわれないでしょう」

「むしろ、学校に来られるのかなあ。あ、でもその時はまたこれがあるか。」

「あんたも飲む気?」

「もちろん。手に入れた本人が、実際試すほかないでしょう?」

そう言って彼女も赤い薬を飲んだ。
しばらく悶(もだ)えた後、目の色を変えて走っていった。

「はあ、疲れたなあ」
そう呟いて、私は眠った。

ある日の放課後。1人の少女と、1本の小瓶のお話。



ー了ー