「あ、あんた…」

殴ったのは見知った奴だった。声も木霊ではなく、目の前の奴が言ったのだ。

いつもならここで竦(すく)んでしまって奴らの餌食だ。
でも、いまは違う。
怒りの最大の何倍もの劇場が、体を動かす。