「……バァカ」



目を見開けば、私はまだ死んでなかった。



温かいものに包まれてるような感じ。



逆に死んだ気もしたけど、
脳と心臓が回った時点で生きた心地がした。



誰……?



そう思えば、目の前にいたクロの
姿はなくなって、かわりに誰かの胸板。


多分格好と視線からすれば誰かに
お姫様抱っこされているのだと思う。



「……気付いた?」



この透き通る声は。



「……せ、い」



多分さっきの声も青なんだろう。


そんな言葉も発するんだ。



「…ごめんね、巻き込んじゃって……」



先ほどの、赤みたいな挑発的な声は
消えて、いつものヘタレな声になってる。



「みんな、生きてる?」



私は周囲を見渡して全員いるか確かめる。



「…うん、いるよ

クロ達はここじゃない、別の世界に
飛ばしたからもう大丈夫だよ」



本当にAltairは何者なんだろう。


魔法使いなんだろうか。



檻が落とされた衝撃で
砕けて、クロの後ろから魔法かなんかでも
かけたんだろう。


そしてあの猫人間達も。



「ありがとう、なずな」



そう言われて身体が浮き上がる。


思い出したけど、お姫様抱っこされてた。



「う、わあ……降ろし、て…え」



Altair全員がいる前で
こんなことされたらとてつもなく
恥ずかしい、としかいいようがない。



「なんだ、青にも
好きな女の1人でも出来たのか」



赤はぽふぽふと青の頭を撫でた。



「なずなちゃん、っていうんだね?

よろしくね」



そういって黄はスマホを取り出す。



「記念に1枚だけ、ね!」



そんなことやってる場合か!!


なんて思いつつ、メリーゴーランドが
綺麗に回ってるとついつい撮りたくなる。



自撮りのセンスはピカイチな
黄はメリーゴーランドをバックに
自撮り写真を撮る。



私以外猫耳をしているという謎の光景。



「すごい、永久保存だ〜!」



「んなこといってる場合かよ、
早くここから出るぞ〜」



翠は黄を引っ張って園内を走ってく。



「さあ、秘密を知った以上
それなりの覚悟はしてくれよ?」



赤は私にそう言い残してあとを着いていく。



「ふふ、色々話すことはありそうだよ

もう、なずなを離せないからね?」



そういう青はまた美しい顔をする。






ああ、またこの人に溺れてくんだな。




どきどきの連続なんだろう。




手を引かれながらどきどきしてる。




この人とならどこまでも。




「おい、電気付いてるぞ!!」




そんな幸せに浸ろうとした時
誰かきた。


きっと警備員だろう。


青と目を合わせて園内を走った。