ねこと流星は彼のすべて。

早く泣き止もう。


パーカーの袖でぐっと
涙を拭く。


マスカラしなくて正解だった。


パンダになりかけた。






「……ごめんね、なずな」






電話越しじゃない、青の声。





顔を上げると、あの青が目の前にいる。





応援していたあの彼。





ステージ上できらきらと
輝いていた青。





ファンサービスをしてもらえた時よりも
近い距離で足が震えてくる。





私はもう涙が止まらなくなる。






「えッ、ちょっ…泣かないで」



青はおろおろして、私に
ハンカチを渡してきた。



「これ、使って…!」



本当に青は優しい男だ。


アサギリもジェントルだと思ったけど
そりゃあ一緒なわけだ。



しかも、ハンカチはラベンダーの
ふわふわした香りがする。



こんなにハンカチを使うのを
ためらったことは無い。