湊くんの病室の前まで来て、扉をノックしようと手を伸ばした。その時…
「佐原はさ、女子力より嫁力だよな」
中から、湊くんの声でそう聴こえた。
─────え、”佐原”……?私の事……?
え、何”嫁力”って……。
「それなー」
「いえてるー!」
「わかるー!」
病室には湊くん以外にもたくさん人が居るようで、中から男女混合で盛り上がった声が聴こえる。
私はその中に、聞き覚えのある声を見つけた。
「ちょっと!女子力低いみたいに言わないでよね〜っ」
────え……この声、花瑠……??
じゃあ”佐原”ってゆーのは……。
思い出した。
そう言えば、花瑠は湊くんのクラスメイトなんだった。
私は扉をノックし、そっと開く。


