明日も歌う あなたのために












「ミナ、ミナ」



名前を呼ばれて腫れぼったくて重たい瞼をうっすらと開く。



───うそ、寝た振りのはずが本当に寝落ちちゃったんだ……………。



一番最初に視界に飛び込んだのは、見馴れた茶髪に、スーツ。




「朝飯だぞ、朝飯」




「──────兄ちゃん…だよね?」





「おう、なんだ寝惚けてんのか?」



───だって一ヶ月ぶりだ。



「てゆうか、面会って1時からじゃなかったっけ……」



「まぁな。でも俺午後は仕事行かなくちゃだからな、そう言ったら案外許可くれた」


まぁ個室だしね。案外そうゆうもんかもしれない。




ずるずるとベッドから起き上がると、机の上にもう朝食が置かれていた。

今日はパンだ。あの、パサパサしてジャムつけてもまずいヤツ……口も乾くし。


普段から薄味なものばかり食べさせられてるし、病院食のまずさには結構慣れたつもりだけど、どうしてもこのパサパサパンだけが苦手だった。



だけどいつまでも点滴は嫌だから、ミカンとスープだけ食べることにした。


するとそれをじっ見ていた兄ちゃんが叱る。


「こらっ!ちゃんと食べないと大きくなれないぞ!俺のように大きな男であれっ」


確かに兄ちゃんは昔から、”その引き締まった身体のどこにそんなスペースがあるの?”って位良く食べる人だ。

もちろんその分、身長も高い。


まだまだ成長期だろうけど、俺はそんなに目立って高い方でもないからちょっと羨ましかったりして。



「じゃー兄ちゃん食べてみろよーっ、このパサパサパン」


「ああー?」


文句を言いながらパサパサパンを兄ちゃんにグイッと押し付けると、兄ちゃんも渋々といった感じでパンをかじった。



「どう?」




「…………………………紙だな。こりゃ…」



「ほらね!!」