「悲しい、苦しいって零したら、
誰か代わってくれるのかよ」
「────……代わって……欲しいの?」
湊くんはまた目を合わせないまま、
静かに首を振った。
「代わってなんて欲しくない。
出来ることなら誰にも
心配も迷惑もかけずに、
ひとりで闘いたい」
"何と?"なんて訊かなくても分かる。
「…………そんな風に他の人を
想えるだけで……ひとりで闘うなんて
言える湊くんは、凄く強いと思う」
「──違う……。俺は弱いから闘うんだ」
「弱いから…………?」
「弱いから……闘うことから逃げるのが
怖いんだ。だから闘う。でも本当は……
それも逃げ道造ってるだけだ……」
私と会話しているはずの
湊くんの言葉は、
うわ言のように虚ろで、
うなされているように不安定だ。


