「湊くん!!」 気付いたら、名前を読んでいた。 湊くんは驚いたのか一瞬だけピタリと 歌を止めたけれど、 それは刹那で、 すぐにまた気付かないふりをして 歌い始めた。 「湊くん………?」 だけどその声は、だんだんと 震えて、弱々しくなっていく……………。 「湊くん…………ってば…」 深い夜の闇に 静かに消え入るように、 今度こそ歌が止んだ。 ゆっくりと振り返る 彼の頬を、光る雫が横切った。 「佐原さん…」 震える声で、そう呟くように言った。