明日も歌う あなたのために

【湊 side】


お腹のあたりに違和感を覚えて、
ぼんやりと目を覚ますと、
目の前に妹の顔があった。


「おにーちゃん起きた!!」


仰向けになった俺の腹の上で、
はしゃいだように笑う。
可愛らしい、なんてゆうか、天使。


「岬(ミサキ)……?いつから居たんだ?」


「けっこうまえだよ?
おかーさんはね、
先生とおはなししてるから
みさきはおにーちゃんみはってるの!!」


今年、小学生になった岬は、
俺の妹であり、天使であり、妹だ。

もとから小さい子は
わりと好きだったけど、
やっぱり自分の妹となると
冗談抜きで世界一かわいいと思う。


────だけど最近、
まともに会ってなかったからな………。



とりあえず岬を
自分の体の上から降ろし、
俺は上半身を起こした。

だけど不意に眩暈がして、
思わず眉間を抑えた。

そんな俺を見て、岬は俺の服を
無理に引っ張って俺の体を倒そうとした。


「おにーちゃんはねてていーの!」

「岬………」


────こんな小さい子にまで、
気を使われせるなんて………。


いつものことだが
酷く自分を情けなく感じて、
俺は見栄を張って
横にならずに首を振った。


「いいんだ。こうしてた方が
岬の顔がよく見えるから。
岬、小学校は楽しい?」


岬は腑に落ちないような顔をしたが、
すぐに笑顔で頷いた。


「みさきね、じぶんのなまえ
かんじでかけるようになったよ!」


「おーっ偉いじゃん!
まだ1年生なのに」


「おにーちゃんのなまえもかけるよー!」


そう言ってベッドの机に置かれた
俺のノートに、慣れない手つきで
シャーペンを握って
『高梨 湊』と書いた。


「すげーじゃん岬」