胸の奥にそっと触れるような、優しくて柔らかい歌声。
どうしようもなく惹き込まれてしまう。
「その曲………」
思わず小さく呟くと、湊くんは歌を中断してまた得意げに笑って見せた。
「はは、分かる?」
─────忘れるわけがない。
あの曲は、あの日………。
屋上で泣いていた君を、見つけた日に君が歌っていた曲だ。
忘れるはずがない、
だってきっと私は、あの頃から湊くんの事が────……………。
「きっとあの時から俺は花菜が好きだったんだ」
─────え………っ
冗談みたいなタイミングでそう言った彼に、思わず向き直った。


