【花瑠side】



病室の前で、深く深呼吸をした。

スマホの画面をインカメにして、簡単に身だしなみをチェックする。



よく考えたら、最後に会ってからたった1週間しか経っていないのに、どうしてこんなに緊張しているんだろう。



あんな別れ方してしまったからだろうか。





────だったら尚更、会ってちゃんと謝らないと……。





私はもう一度深呼吸をすると、ゆっくりとその扉をノックした。






「─────はい」







扉越しに響く、愛しいその声。

もはや懐かしいような気までした。






「────私。……花瑠よ」






恐る恐るそう告げると、扉の向こうからギシッとベッドの軋む音がした。



そしてその数秒後、「入ってもいい?」と訪ねようとした時、

突然ガラッと病室の扉が開いた。