高梨は情報課に入る前と全く同じところ居た。
「ごめん高梨、おまたせ」
返事がない。
「高梨?」
心配になって屈んで顔を覗き込むと、長い睫毛を伏せて瞼を閉じ、規則正しい寝息を立てていた。
────寝ちゃってる。
情報課の入口の少し奥に裏口があるせいで、院内暖房が効いているのに廊下はすっかり冷えてしまっている。
こんな寒いところで、こんな無防備に居眠りするなんて……。
「高梨………風邪ひくよ…」
そっと肩を揺すってみる。
「もー、全然起きないし……」
この時間だからなのか、もとからあまり人気のない所なのか、廊下には私たちの他に誰も居ない。
節電のためか、心なしか照明も暗くなっている。


