【花瑠 side】




高梨が目覚めてから、4日が経った。




イブのライブは、「やっぱりあの歌は高梨以外には歌わせられないし、INFINITYのボーカルは高梨だけだ」ってことで意見が一致し、急遽欠場になった。



高梨も最初はすごく申し訳なさそうしていたけれど、いつか絶対ライブであの曲を演奏しよう、と嬉しそうに約束してくれた。




実は、「高梨がライブで歌えるようになったら驚かせてやるんだ」って言う相沢の提案で、3人で密かにあの曲の練習をし始めた。



高梨が寝ている隙に病室からスコアを持ち出して、おねーちゃんに無理を言って、ナースステーションで3人分コピーして貰ったんだ。



いつでも高梨が戻ってこれるように、私たちにできる準備をしておこう、ってことだ。




あの曲を練習し始めて、私たちは口を揃えて言った。

すごい良い曲だね、と。



本当にそうだった。

私たちの個性を、得意分野を生かそうとしてくれていたり、全パートに見せ場を作ってくれているのがすごく伝わった。



それにあの歌詞。

飾らない、真っ直ぐで純粋なラブソング。




高梨のあの透き通るようなカッコイイ声で歌われたら、きっとみんな恋しちゃうんじゃないか、ってくらい、いい歌詞だった。