処置室の前でぼーっと突っ立っている私の肩に、ずっと隣にいた飯田が無言でそっと手を置いた。
その温もりに、
止まっていた心が一気に溢れ出して、
どうしようもなく涙が流れだした。
「いい…だ………っ、高梨………動かなかったよ……………?」
「──ああ…」
「あの時…………っ高梨………息……してなかった………」
「──ああ……」
「見間違いじゃないよね……?あんなに…………っあんなに苦しそうだったのに………っ急に静かになって………」
「──俺も見た」
「どうしよう………………どうしよう高梨が………高梨が死んじゃったら………」
「馬鹿野郎!すぐ息を吹き返すに決まってんだろ!?」
バタバタと足音を立てて、高梨の両親らしき二人が高梨の通った廊下を慌てて駆けてくる。
そして、女の人の方は掴み掛る勢いで飯田の両肩を掴んだ。
「龍くん!!ミナは………!?」
「この中…………」
「何があったの……!?」
「発作起こして……でもいつもの薬効かなくて……意識失って……そんでこっちに運ばれてさっき、心臓が、動いてねぇ…って………」
「…………っ!!ミナ!!」
高梨のお母さんがへたりと、処置室の扉の前に膝から崩れた。
高梨のお父さんが、そんな彼女の背中をやさしく摩るが、その手も震えていた。


