私は支度を済ませ、おにぎりをかじりながら玄関を出た。

  
 トースト少女じゃなくて、私の場合おにぎり少女だな。


 ん?


 てか、少女なのか? 


「要、今から競争しよ。でも、無理はしないでね。」


 遅刻しそうな時は毎回競争をする。
 

 その方が早く行けるから。


 でも、要の咳が酷くなってしまうときは、必ず止めるんだ。


「いいよ。今回もまた、俺が勝つからな。」


 自慢気にそう言ってくる。


 要は何気、運動神経が良い。


 私も良い方なんだけど、敵わないんだ。


 私は、ムカつきながら少しだけ意地を張る。


「今回こそは私が勝つんだから。要には絶対負けない。」


 そして、私の

「よーい、ドンっ!」

の掛け声で、学校に向かって走り出した。