ちっちゃい頃の約束

「今何時だと思ってるんだよ。もう8時30分だぞ。」


 私はそれを聞いて、ぱっちりと目が覚めた。 


 要は、ぶつぶつと文句を言っている。


「えっ!もうそんな時間なのっ?ヤバっ、早くしないと。要~もっと早く起こしてよー。」


 学校は9時までだからこのままだと遅刻しちゃうよ!


 要に文句を言いながら、学校へ行く支度をする。


「何度も起こしたけど楓がいつまでも起きないから悪いんだろ。」


 その言い方にちょっとだけ、ムカッとする。

  
 短気なのかな、私。


 要はベッドの布団をたたみながら、私の準備を待ってくれている。


「ちょっ、おいっ!楓、着替えるなら言ってよ。」


 私が制服に着替えていると、要が部屋の外へ出ていった。


「別にいいじゃん。幼なじみだし。しょっちゅう見てたでしょ?気にすることないって。」  


 ドア越しに、要と会話をする。


 要は呆れたように、溜め息をついた。


「それは、ちっちゃい頃。もう、俺達高校生だよ?楓も女の子だってもっと……自覚しなよ。」


 気にしないでいいのに。


 私、見られても大丈夫だし。


 でも、なんでか『女の子だって自覚しなよ』と言われたことが嬉しかった。


 そういえば、夢で私が悲しくなってたなぁ。


 もしかすると私も、女の子だって意識してほしかったから、悲しくなったのかもしれない。


 自分らしくないけど、自分の気持ちが分かって嬉しかった。