「うん。鈍い。」


「そう、かなぁ。でも、私からしたら美然の方が鈍いんじゃないかって思うけど……。」


 美然は目を見開き、一瞬びっくりして、ぶんぶんと首を横にふる。


「うちは、全く鈍くないよ。だって、自分で言うけど気持ちとか察せるほうだと思うもん。」


「あっ、そっか。美然エスパーみたいだもんね。」


 なぜか、美然は透視してるんじゃないってぐらい、気持ちを察せられる。


 本当、不思議だなぁ。


「でもさぁ、美然は自分のこと好きって思っている男子とかわかるの?」


 ずっと聞きたかったんだ。


 美然は誰にでも優しくて笑顔だからもしかしたら、気づいてないんじゃないかと思って。


 でも、エスパーだからなぁ。


「勿論わかるよ。恋愛感情はとくにわかりやすくてね。」


 美然はそう言い、口角をへの字にまげた。


「キモいっ変態って、思っちゃうこともよくあるの。」


「……そっか。でも、美然は人の気持ちを考えるからよく察せられるんでしょ?私なんて考えても、ダメダメだよ。」


 私は、フフっと微笑んだ。


 すると美然が、両方の手のひらで顔を隠した。


「だから、そういうところだよ~。楓の鈍感!無自覚!」


 私ははて?と首を傾げながら、元気になって良かったなと思っていた。