「美然、あのさ……。」 


 何かあったの?


 そう聞こうとして、私は止めた。

 
「どうしたの?」


「……ううん。やっぱりいいや。」
  

 苦しいなら。


 相談してほしい、頼ってほしい。


 だけどもしかしたら、聞いてほしくないのかもしれない。
   

 だから、止めた。


 役に立ちたいけど、私なんかじゃダメなのかもしれないから。 


 胸が苦しい、だけど我慢しなきゃ。

 
 私も、美然に相談されるくらい頑張らないと。


 心の中で、そう決意した。