舞衣はとてつもなく嫌な予感を拭えないでいた。
車の窓から見える景色が、見覚えのある景色に変わってきたからだ。
「な、凪さん、私達、一体どこへ向かってるのでしょうか?…」
凪に聞いたはずなのに、お世話係の強面イケメンのタロウがすかさず答える。
「B.C.squareTOKYOへ向かっています」
え??
なんで??
もしや、夜景の眺めのいい場所って、あのイケメンバー?
確かに、凪さんならまたVIPの部屋を取れるかもしれないけど、でも、この恰好で、さすがにあのバーへ行く勇気は私にはない。
「どうした? 顔が真っ青だけど」
舞衣はモコモコのフリースのおかげで暖房のきいた車の中で、じっとり汗をかいていた。
そんな中、あのビルに向かっているという事実を知り、今度は急激に体温が下がるのが分かる。
「な、凪さん、私、この車の中でやっぱり着替えていいですか?…」
「は? ダメだ」
舞衣は泣きそうになった。
もしかして、私、凪さんのおもちゃになった?
究極のイケメンエリートで超一流の何でも手に入る人達は、最終的にこんなものを欲しがるのかもしれない…
それでいて、凪さんが、ドSだったらどうしよう~~
「あの、イケメンバーなら、私、行きたくありません……」



