凪はその花束を受け取ると、もう一度咳払いをした。
「はい、これ……
かすみ草って言われても全然ピンとこなくて、ビルの向かいにある花屋に頼んで作ってもらったんだ。
デカいよな…
俺も現物見て驚いた」
「向かいの花屋って？
あの超高級ショップの？？」
「そうなのか？
俺、そんなの全く知らないから」
舞衣は再び受け取ると、改めて抱えている花束を見て目を丸くした。
あの超高級花屋さんで、こんなに大量のかすみ草の花束、一体いくらしたんだろう？？
舞衣はそんなよこしまな考えはとりあえず頭の奥にしまいこみ、凪を見てニコッと微笑みお礼を言った。
「凪さん、突然の出来事で最初は驚いたけど、でも、どういう理由であれ、やっぱり花を贈られるのって凄く嬉しです。
本当に、本当に、ありがとうございます…」
大きなかすみ草の塊の上に舞衣の顔がちょこんと載っている。
その姿は奇妙であり斬新な芸術のようだ。
でも、凪はその舞衣の笑った顔に全てを持って行かれた。
凪の中のあらゆる神経がその笑顔に釘付けになっている。
かすみ草マジックか？…
この巨大なかすみ草の円に包まれている舞衣は、もう凪の中ではかすみ草に同化されていた。
その笑顔、マジで可愛すぎる……
このほんわかモードは一体何なんだ？？
