イケメンエリート軍団の籠の中




凪は黙ったまま舞衣を見ている。
狙った獲物を見つけたような鋭い目つきをして。


「凪さんはお金持ちだから、こんな高価な贈り物をするのに慣れてるのかもしれないけど、私は全然慣れてないんです。

男の人からの贈り物も、父と、その時つき合ってた恋人からしかもらったことがありません。
何も関係のない人からもらうのは、やっぱり気が引けます。

だから、今度のお給料の時にお返しします。
果たしてお給料がもらえるのかどうかも分かりませんが……」


凪は近くにあるテーブルに腰を下ろした。


「で?
そのつき合ってた彼氏には、何をもらったの?」



「は??」



舞衣は凪の訳の分からない質問に困惑した。
すると、凪はそんな舞衣のコーヒーを持っていない方の腕を掴み、自分の元へ引き寄せる。


「何をもらった?」



「た、誕生日じゃない日に花束をもらいました…
突然、家に、かすみ草だけの真っ白な花束を持ってきてくれて…
何でもない日だったから、すごく驚いて、でもすごく嬉しくて……」


凪はすこぶる機嫌が悪くなるのが分かった。
この舞衣という不思議な女の子の事が気になって仕方がない。

かすみ草の花束??
そんなのどこに行けば売ってるんだ??