そこに立っていたのは、濃紺のスーツを着た品のいいイケメンコンシェルジュだった。
「この自動扉の先に、エレベーターが3基あります。
そのエレベーターがアッパーフロア専用のエレベータになりますので、27階へ上がってから、もう一度アッパーフロアの専用受付の人に聞いてみて下さい」
「は、はい、ありがとうございます」
舞衣は丁寧にそのコンシェルジュにお辞儀をして、急いでそのエレベーターホールへ向かった。
さっきのエレベーターとは明らかに違っていた。
スタイリッシュさの中に気品があり、このフロアに勤めるエリートビジネスマンと同じようにエレベーターにも格の違いが見てとれる。
そして、一緒に乗り合わせた女性も、セレブのファッション雑誌から出てきたような洗練された美しさを醸し出していた。
舞衣は、ちょっとだけポッチャリの自分の体形を残念に思った。
鏡張りのエレベーターの扉に映る自分を見て、ため息をつく。
普通のリクルートスーツの私は、隣に立つエリート女子社員の格下のそのまた格下に見える。
はあ…
ヤバい、だめだよ、ここに来て自信をなくしてどうするの?
舞衣、引き返しちゃ絶対だめ…
このチャンスを自分のものにするんでしょ?



