イケメンエリート軍団の籠の中




舞衣が顔を上げてみると、一番離れた所に凪が座っていた。

昼間の凪とは別人になっている。
濃いグレーのスーツに紺色のネクタイをして、ボサボサにおろしていた灰色の髪はワックスで固めてアップにしていた。
テーブルを挟んで遠いところに座っているのに、舞衣のことをジッと見ている。
目を細めて、まるで獲物を見つけた蛇のように。

凪さん……
怖いんだけど、でも、凪さんから目が離せないよ…


「舞衣ちゃんは実家から通ってるの?」


舞衣の元へカクテルを持ってきた謙人が、映司の横に割り込んで舞衣の隣に座った。


「謙人、俺がまだマイマイと話してるんだけど」



「お前は夕方も舞衣ちゃんと一緒に居たんだろ?
いいから、変われ」


映司はわざとらしくため息をついて、謙人のために少し席をずらした。


「私は、今は、一人暮らしです。
実家は東京にあるんですけど、色々と事情があって今は一人で暮らしてるんです」


その瞬間、ここに集まっているイケメンの雄たちの保護本能に火がついた。
例にもれず、凪も舞衣の話をジッと聞いている。


「事情って? 聞いてもいい?」


そう言って優しく声をかけたのは、やはり年長者のトオルだった。