そのバーは一面がガラス張りで、まるで夜空の中に浮いているようだ。
舞衣とジャスティンは、奥にあるVIPルームに通された。
ジャスティンが先に入り、そして舞衣を呼んだ。
舞衣が恐る恐るその部屋に入ると、そこも一面がガラス張りで部屋の真ん中には楕円形のカウンターがあり、バーテンダーが二人でカクテルを作っている。
舞衣は初めて見る光景だった。
こんな豪華なお洒落なバーでその中でも一番特別なVIPルームで、イケメンに囲まれてお酒を飲むなんて、今までの舞衣の人生では味わえない夢物語が今現実で起こっている。
舞衣があっけにとられて立ちすくんでいると、トオルが皆の前に連れてきた。
「みんな、素敵な舞衣ちゃんを見てあげて」
トオルがそう言うと、映司が舞衣の横に立ち肩を抱いてエスコートする。
「僕好みにしちゃったけど、いい感じでしょ?」
舞衣は恥ずかしさで顔が真っ赤だ。
「じゃ、僕達の可愛いお姫様は、こわ~い凪から離れた所に座らせてあげる」
映司はそう言って、トオルと映司の間に舞衣を座らせた。
舞衣は心臓が飛び出しそうなほどドキドキしている。
こんな凄いシチュエーションに、中々馴染めないし楽しめない。
本音を言えば、早く家に帰りたかった。



