映司はそんな事どうでもいいみたいな顔をして、舞衣をまた違うブランドショップに連れて行った。
映司が店に入ると、全ての女性店員が映司の周りに寄ってくる。

“アッパーフロアの映司さんよ”とか“めちゃくちゃカッコいい”とか、舞衣にとってはモデルさんより綺麗だと思うショップ店員が、映司の事を目をハートにして見ている。

舞衣は少し恥ずかしくなった。
美貌はもちろんのこと、気品さも育ちの良さも何も持ち合わせていない自分が恥ずかしくなった。


「マイマイ、僕が全部決めちゃっていい?」



「…はい」


映司さん、もう何でもいいですので、早く帰りましょ…
このショップのお姉さま達の目が痛くてしょうがないです。
なんでこんな可愛くない女の子を連れてるの?って…

可愛くない……

あ、私、まだ開き直れてない……
意地悪な凪さんに言われた言葉が、まだ心に刺さってるみたい…


「マイマイ、可愛いよ。
めっちゃ、似合ってる!」


私にとってはとても背伸びをした大人っぽいワンピース…
でも、映司さんが私のために選んでくれたんだもの、うん、これでいいです。


「映司さん、選んでくれてありがとう…」


ちょっとだけ、ううん、かなり大人びてるワンピだけど、この世界で生きていくにはこのワンピを着こなす努力をしていかなきゃ……