イケメンエリート軍団の籠の中




舞衣は少しだけホッとした。
自分の周りに集まっていた人達への自己紹介が終わったから。


「凪」


すると、ジャスティンの声が響いた。
舞衣から離れた長机のあたりに、その伊東凪という男は座っていた。
ジャスティンに呼ばれた凪は、面倒くさそうに舞衣の前へやって来た。

明らかに、今まで見たイケメン達とは全く部類が違う。
ミディアム系のゆるいパーマがかかった髪形は、黒に近い灰色のカラーで染め上げている。
でも、無造作に仕上がっているその髪型に灰色の色は絶妙に似合っていた。

その凪という男は、見た目は本当に怖かった。
奥二重の切れ長の目は、少しだけ釣っているせいでワイルドに拍車がかかる。
それでいて、灰色の髪。
他の人に比べて、なんだかラフな格好も、凪の存在感を際立たせた。

舞衣は、猛烈に心臓が高鳴るのを感じた。
それは恐怖からなのか何なのか、さっぱり分からない。


「ソフィアは何を思ってこんな子選んだんだ?」


凪は開口一番ジャスティンにそんな事を聞いた。


「凪、本人の前で失礼だろ。
俺は、舞衣で良かったって思ってる。
ギスギスしてなくて、ほんわかしてて、俺は好きだよ」