イケメンエリート軍団の籠の中




「凪さん…?」


凪が恋しくなった舞衣は、凪を捜してリビングにやって来た。
凪はリビングの全面のカーテンを開け、部屋の灯りはつけずに景色の灯りの中、静かに煙草を吸っている。


「どうした? 寝れない?」


ボサボサになった髪をかき上げて切なそうに微笑む凪は、青色のうさ子になっている舞衣を優しく自分の隣に引き寄せた。


「俺のうさ子はなんでこんなに可愛いんだ?」


凪は舞衣に当たらないように、静かに煙草を灰皿にこすりつけた。


「煙草を吸う凪さんを初めて見た」


舞衣は凪から漂う煙草の香りを大きく吸い込んだ。
凪はそう言う舞衣の顔を覗きこみ、小さくため息をつく。


「また泣いてたろ?
鼻が赤くなってるし」


舞衣は凪のその言葉を聞いて、また涙が溢れ出した。そんな舞衣を優しく包み込むように、凪は抱きしめる。


「こんな事言うのは卑怯なのかもしれないけど…

聞いてくれる?」


舞衣は小さく頷いた。


「なんかさ…

自分の未来なんて、俺、今まで何も考えることはなくって、今が充実していればそれでいいって、それくらいのもんだった…

最近、っていうか、舞衣に会ってから、俺の中の今まで眠っていた不思議な感情があちこちで目を覚ましてる。

あ~、ニューヨークに行きたくねえ…とかね」


凪はまだ肩を震わせ泣いている舞衣を、更に強く抱きしめた。