イケメンエリート軍団の籠の中




「凪、よく来たな。
って言うか、舞衣を迎えに来たんだろ?」


ジャスティンは店に入ってきた凪の肩を掴んでそう言った。


「余計な事言うなってお前に言われそうだけど、忠告しておく。
舞衣のキャラはお前もそうだったように、ここにいる連中にはかなり人気がある。

中途半端な別れになるんだったら、ちゃんときっぱり別れてやるのが舞衣のためだぞ」


凪はジャスティンの言葉を聞きながら、舞衣の居る方へ目を向けた。
映司は凪を見てここに来いと手で呼んでいる。


「くだらねえ」


凪はジャスティンに一言そう言うと、不吉な笑みを残し舞衣の元へ歩いて行った。


「凪、待ってたぞ」


そう声をかけてきたのは、年長者のトオルだった。実際、舞衣の隣の席は空いていない。


「他にも用があるので、10分で帰りますけど」


凪がそう言っても、トオルは嬉しそうな表情は変えなかった。


「いいよ、いいよ、来ないかもって思ってたから、来てくれただけで嬉しいよ」


凪はトオルと話しながらも、ずっと目線は舞衣を追っていた。
決して優しい目つきじゃないのは自分で分かっている。
欲望と渇望でがんじがらめになっている自分の精神を抑えつけるには、相当の忍耐力が必要だったから。