イケメンエリート軍団の籠の中




「あ、そうだ。
今日、54階のVIPルーム、予約入れたからさ。
ちょっとでもいいから、顔出してくれよ。

今は紅一点のマイマイもいるから」


映司は、俺っていい奴みたいな満足感に浸りながら、そう言い残し凪の部屋から出て行った。

凪は大きくため息をつくと、せっかく仕分けした段ボールを思いっきり蹴飛ばした。
今、凪の全てを占めている、焦燥感、喪失感、嫉妬、コントロールできないほどの舞衣への想いは、凪の今までの人生において存在しない感情ばかりだ。

冷静沈着な策略家の凪は、今はどこにも見当たらない。

凪の中で、むずがゆくてしょうがない舞衣への思いやりだったり、優しい気遣いだったり、溢れるほどの愛情だったりという目新しい衝動が、今の凪の思考を完全に支配していた。

それが愛というんだよ……

どこかで聞いたことのある歌のフレーズが、凪にそう言い聞かせる。



凪は要らない書類の入ったゴミ袋を持って、舞衣の座るデスクへと向かった。
なんだか元気のない舞衣を見ると、心臓をきつくつねられた気分になる。


「これ、シュレッターにかけて」


凪がそのゴミ袋を舞衣の机の横に置くと、舞衣は小さな声で「はい」と言って立ち上がった。


「場所、分かる? そのサロンの奥の方にあるから」


ぶっきらぼうに凪がそう言うと、舞衣はまた小さな声で返事をした。