イケメンエリート軍団の籠の中





「なんで、そんなに涙が出るの?」


舞衣の涙を指でぬぐいながらな、凪はささやくようにそう聞いた。


「なんだか、私……
一週間前までは、大きな幸せは望まないようにって生きてきました。
でも、今は、この素敵な夜景はもちろんのこと、凪さんの事が……

私、凪さんの事を本当に好きになったみたいで…

でも、この幸せが、風船みたいにパチンって割れたらどうしよう」


凪は涙でグシャグシャの舞衣をそっと抱きしめた。
しばらく何も言わずに、ただただ抱きしめる。


「舞衣、俺の一週間前だって、こんな事になるなんて想像すらできなかったよ。
一週間前の俺なら、この美しい夜景も、ただ無機質な建物の灯り車の灯りくらいにしか思わない。

でも、なんだろう……

今は、この何でもない世界に、愛はそこらじゅうに溢れてるんだなって分かる。
この小さな粒上の灯りにも、たくさんの優しさが宿ってるんだって。

俺の中で、生きる意味の価値観がきっと変わったんだ。
舞衣との出会いは、俺に色々な感情を教えてくれてる、それは今も進行形で」


凪はこの極上の空の上で、かけがえのないものを見つけた気がした。


「舞衣、愛してる……

もし、この幸せの風船がパチンって割れたとしても、何度でも、俺がもっと大きな風船を膨らましてやるから。

だから、もう泣くな」


凪は舞衣の髪を優しく撫でながら、そっと舞衣の耳元でそう囁いた。
そして、堪えきれず舞衣のぷくぷくの頬にキスをする。


こんなに極上の舞衣の甘い蜜に、俺はすでに溺れている。