「うさ子、起きたか?」


リビングに入ろうとする凪の声が聞こえる。


「お腹空いたんだろ?」


凪は舞衣を見つけると、優しくそう聞いた。


「凪さん、ごめんなさい…
凪さんの家に泊めてもらってるのに、こんな時間まで寝てしまって…

それと、お腹が空いたんじゃなくて、もし材料があれば、お昼ご飯でも作ろうかななんて思って…」


アイランドキッチンの前で、舞衣は情けない笑みを浮かべそう言った。


「よし、じゃあそのうさ子の手料理は次回の楽しみにしとこう。

今日は忙しいぞ。
夜にかけて極上のデートをするから、昼間はその準備に買い物に行く。

舞衣の欲しいのもを全部買ってやるから」



「極上のデート?」



「そう、今まで舞衣が味わった事のないデート。
行くのか? 行かないのか?」



「は、はい、行きます」


凪は顔をくしゃくしゃとして、舞衣にウィンクをした。


「よし、じゃ、出かけるぞ」